風見鶏テキスト

たまに思い出した様に散文詩を書きます。

IndustrY


黒のマジック 油性ペン
線が弾ける 太く細く
空に無作為に 線を走らせる

もくもくと煙を描いて 空に沢山
すらすらと人を描いて 大地に沢山
窓辺から 見れば
ゆらゆらと線 何本も 何本も
黒い線と 青い空

煙突から出る もくもくに良く似せて
煙を空に 何本も何本も 描く

透明な 輪郭だけ残した煙が
何本も 何本も 霧散して 散ってった
透明な 輪郭だけ残した煙が
霧散して 青空に 溶けてった

青い空 青い空 線の煙で 色濃く変われ
青を群青に 群青を黒に
やがて空は黒で塗りつぶされた
それでもペンを入らせる内
真っ黒空にぴしぴしと亀裂が走り
そのひび割れが白い光になって
星となってそそぐだろう

マジック描いた街を歩く
がぎがぎと 四角の羅列を
歩いていく
誰かの四角い灯りを見ながら

真っ黒の空の下
空を塗りつぶした 黒のマジックペン
ドミノみたいに 道すがら
慎重に立ててった

沢山立ったマジックペン
銀色の光だけ 道すがら ピカピカと
黒いこの街に ピカピカと
道標みたいに 足跡みたいに