風見鶏テキスト

たまに思い出した様に散文詩を書きます。

かさね

かさねかさね
夜道の空に
かさねかさね
心の煙に

滑る様に夜を行く
ふいに段差に跳ねて
跳ねれば懐かしい草の匂い
夕方が浮かんで消える
風を走る

華美にかさねた足跡は
懐かしさとは程遠い
思い出しても何処かに行って
思い出しても何処かに消えた

遅れてきては
余所見の先の
置いては行けない独りぼっち
両手を握る

かさねかさね
夜道の空に
かさねかさね
心の煙に

忘れてしまった探しモノが
かさなり落ちた空をぼんやり見てる