風見鶏テキスト

たまに思い出した様に散文詩を書きます。

cure_dB

 
ラジカセの渇いた音
ヘッドホンの内側 音だけが全ての世界
ハイウェイを走る 午前4:55
夜が空から欠片のように砕け落ち
アスファルトを黒く覆い尽くした

街路樹の影は 加速した速度で
時間の前方へ 前方へ 跳躍する
木々の根元から 光の帯が伸び
道路に何処までも続く区画線と交わりながら
ぶれる様に世界をオレンジ色に塗り替える

叫ぶように喉を開け
風を指先で切り裂き
目の前の色 滞留は弾け
まるで意味の無い物へと
自意識を換装してくれる

なだらかに替わり
煌びやかに降り
煙の様に 昇っていく
その粒子 一つ一つが
己のカタチを 輪郭を 創り
何時しか
心も 身体も その存在も無く
走り続ける意識だけが
周波数に解け
その魂の振動が
空間を飛び交うエネルギーの放射線となり
全てが色彩に変わった世界で
漂うように
でもしっかりと
奔っていく
地の果ての太陽へと
奔っていく
何処までも続く
この調律されたノイズを