風見鶏テキスト

たまに思い出した様に散文詩を書きます。

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夕日が眩しくて 目を細めて笑う
壁に持たれて座った掌には
なんにも無かったけど
空気は今よりもずっと透明で
空は曇ったり晴れたり それだけで
新鮮な気持ちになった

窓辺 雲間から覗いた太陽が
僕の部屋をオレンジ色に照らす
まるで時が止まっているみたいに

特別な場所にいなくても
過ぎていく時間は特別だったよ
「ねえ?」
声は伝わらないと知りながら
心残り 期待してる
「ねぇ?」
見知らぬ遠くへ 呼び掛け
胸が苦しくて熱いのに
頭の中の言葉は冷めて
痛みだけ 日常に残った

夜になる前の最後の光に
毎日必死に手を伸ばして
でも 留められない事なんて
子供でも解る事
夕焼けと夜とを繰り返しながら
何処でもない何処かを
誰でもない誰かを探した

いつか 何処と誰に
色付く日が来るのかな
空は曇ったり晴れたり それだけで
呆気ない程 何思うことなく
過ぎていくけど