風見鶏テキスト

たまに思い出した様に散文詩を書きます。

2007-09-01から1日間の記事一覧

月曜の丘火曜の顔

こんな空の晴れた日には 貴男と二人るんるん気分で ピクニックに行きましょうよ 貴男は怪訝な顔をしたけど 私は私は私はねぇ 気にしないのよ全然 真昼お日様がギリギリと二人を燃やしている頃 緑色と黄色の丘にたどり着いた二人は 気のない素振り続けるまま…

掠れた声

路に掠れた声を辿って 暗い華の様な路の底にいたのは なんの事は無い けたたましく鳴く五月蠅い人の輪 細い目をした集団を余所に 大挙した人の襞を越えて見据える 黒い石畳は人縋る舞台のように 狂った女とジルバを踊る医師 薬売りに訊ねれば 私はただ風邪薬…

トーチカムナイキブ

雪降る鉄の道路一人佇む 張り付いて消えない 雪の綿を拾って 星の影を白い影を 鏡の様に反射する路を 遠く遠くの舞台に見るのは まだ幼かった二人の 仲むつまじい隠れん坊みたいに この灰曇りの空から飛び出て 大気の声を聴きに行こうか 百の影と立ち上がる…

紅夜想

夕日が目の前に見えた 大きくて眩しくて 茜の色が私に染み込んで 空も木々も私の影も 朱の揺れる水の中みたいに 悲しみと虚ろが 私の身体を通り抜けて 空まで抜けていっても 空っぽな 空っぽの様な私の気持ちは 埋まらないんだろうな 沈む ジリジリと 闇が這…