風見鶏テキスト

たまに思い出した様に散文詩を書きます。

月曜の丘火曜の顔

こんな空の晴れた日には
貴男と二人るんるん気分で
ピクニックに行きましょうよ
貴男は怪訝な顔をしたけど
私は私は私はねぇ
気にしないのよ全然

真昼お日様がギリギリと二人を燃やしている頃
緑色と黄色の丘にたどり着いた二人は
気のない素振り続けるままに
寡黙にランチを食べた
貴男の顔を一切見れないで
私はサンドイッチを
はぐはぐ食べていたら
貴男は苦笑いしながら
「サンドイッチ好きなんだね」
なんて
苦笑いしながら言うものだから
私恥ずかしくなって
丘を降りて駆け出してしまった

明くる日
急の不安で謝りたくて
貴男を捜しているのに
何処にもいなくて
消えてしまって
鱗のような雲を見上げて
声を潰す程叫ぶ
硝子の瞳をいっぱいに見開いて
道路のタイルの裏まで見たのに
消えた貴男
貴男は消えた
消えてしまって
悲しい私
私悲しくて悲しくて
泣いて笑って
丘に戻ってみたら
ランチボックスが落ちていて
昨日のまま
また笑って
笑い疲れて寝てしまった

古い初めてのお芝居の中で
薄汚れたお姫様が一人
何だか読めない文字に頭を抱え
そして一息ロケットに乗り込む
駆けていくのは光の帯と
ぐるぐる星のカーテンを越えて
規則的に流れるパンと貴男追って

いつかまた
あの丘へピクニックに行きましょうよ
ピクニックピクニック
貴男の影と心と安らぎが無くなったって
気のない素振りだって
私の身体がお星様に焦がれてもねぇ
ピクニック
ランチボックス抱えてね
サンドイッチでぎっしりね