風見鶏テキスト

たまに思い出した様に散文詩を書きます。

OAO

赤ん坊みたいに泣きたい高い空の上まで辿り着けない楽園を見破ったまま想いに耽る瞑った目誰の目も見えていない逸らした目弓なりに視線は飛ぶ窓だけが沢山浮かぶ 忘れてるわけじゃないけど出来なくなって思い出せない何時か僕は笑い方だって忘れる日がくるん…

星の卵

君の望んだ探し物一周回って腕の中君は自分を顧みず自由という名の殻の中 まあるい世界の空の上虚ろな波紋は透き通り星屑の中をかき分けて何処へなくとも散っていく 隔たりがあれば幸いで壁の向こうに耳はなくしゃっしょこばった顔の儘蔓草に巻かれ措いてい…

tumble

すれ違う光の帯君の横顔 駆け抜ける先 鬱蒼とした小道を乗り越え人知れぬ廃墟の先水底より浮かんでくるサイン 薄紅色の花を掠り緑の色をかき分け進む追いかける君の影はまだ 遥か先青色の溜まる君の影は明るさと暗がりの繰り返しを抜け虹色に交わる視線の先 …

かさね

かさねかさね夜道の空にかさねかさね心の煙に 滑る様に夜を行くふいに段差に跳ねて跳ねれば懐かしい草の匂い夕方が浮かんで消える風を走る 華美にかさねた足跡は懐かしさとは程遠い思い出しても何処かに行って思い出しても何処かに消えた 遅れてきては余所見…

re Response

あみだくじを辿るように最初の君を探しに行く忘れきれない温もりとか悲しさを今も握っている掌は開かない手放したい後悔と戻らないもどかしさの中で身体と心は別じゃないそんな解っている事に「本当に?」って繰り返す昔のボクが今も言う 周り一面何もない眩…

指先も見えぬ暗闇の中白平盃が一つコトリと置かれた 中空より滴る一筋の糸の如くその隆線を落とすあるかなしかに色づいた黄金色の液体が白平盃に微かな音も立てず流れ込み満たしていく なにものに捧げる事なくただ掌を合わせなにものに縋る事なくただ掌を合…

砂礫の君

座った君は歩き出す歩けば纏う砂礫の君は重さに疲れまた座る座れば落ちる砂礫の山は灰に煙って渦を巻く渦巻く煙より見上し空は色めき輝く胡蝶の夢 砂礫の君よ遠くへ高く砂礫の君よ見えぬ先へと 全てをかなぐり捨て生きる事など出来はしないと知りて尚

すいちる

わかりきった時間ワタシだけの時間呼び水になるのは他人の互換どこまででも近く寄り添うなら道理何時まで待ってても働かない慟哭 すい すい待ちわびる 人の海少しばかりの 目覚め薄目を開けた 薄暮の日 エネルギッシュに輝く太陽は東雲遠くから見てる 笑って…

e(a)ffection

雨粒が一つ 弾く振動が一つ波紋に揺れて 色を変えて 手を掲げてお道化るように歌う 歌う 歌う 音 歩く足音 土の上に足跡色とりどりの匂いを立ててさ 手を掲げて祈るように歌う 歌う 歌う 音 雨の中の一粒が僕の肩を少し濡らす鏡の表と裏のこの世界では君の肩…

Album

君が望むなら小さな檻の中に手を突っ込んで指先に触れる感触だけ君が望むなら夢見るように呼吸を繰り返し空虚な時間にため息をつく えいえんと言うその大きさは君の両手で量れない それでも君の悲しみを知ろう君の喜びを知ろう呼吸は泡に声は波に広がり続け…

[[[ゲージ]]]

思い切りがさばった荷物を持って並んだ並んだマークのある道葬列みたいさ誰もかれも顔を見ない伏せた目の中を魚が泳いだ 思い返さないように頭を振って踊る踊る 心の中だけアナタを見たよ揺れる陽炎のディスプレイの中でいつか到着すると字幕に書いてある見…

ねーむれすれす

あの日の夕焼けどの日の夕焼け?偽りの思い出に縋るのは遠い国にいる国のない王様達臣下のいない怒りっぽい王様灰色ケープを引きずってラッパを吹いてご満悦 王様の目の中に流れる景色はどれも瑠璃色の輝きで灰色に踏みしめた地面をのっしのっし歩く瑠璃色の…

REpane

しぼんだ風船空気を入れてもひゅーひゅーもれてしぼんで痛い 寂しくって悲しくって空しくって惨めで怖くて背中が篤い 目も鼻も口も指も何も望まない息を止めても消えていく しぼんだ風船苦くて痛いひゅーひゅー息の音置く場所も無い 色とりどりの空気を集め…

あのころの

あのころの目あのころの色 黒いほど群青の空眩しいほど真っ白な雲 遠い日の町の空気と光と影と雑踏しんぴんの目でしんぴんの心で何も考えず歩いて そうしてどこへ歩いて行ったの?どこへ歩いて行くの?飛び石みたいに家路を探すさみしい背中は丸まって足音だ…

[niche]

時計の針だけ信じて目まぐるしく走る白黒 数字達ハッキリとしたコントラストでそれは人の容に見えたネジが緩んで加速するそれをただ続けてそれしか無いみたいな顔をして手と足だけで行進する ねぇ気づいてよ赤と青と教えて貰ったその口で紫を語るんだからさ …

いたう

春香白く結べど解け花びら散りゆくそのままに遠い夢のその姿褪せた葉はらりと秋路に落ちた 儚く揺れる青空の麓に滲む指先 滲む心(うら)からん ころん駆け上がりからん ころん一つ 遠い音

みくす

薄明りの街並みの中を捉えようもない影が僕の背中を追い越していく風鈴みたいな音と思い出とが風景の中から溶け出していく 随分夜も更けてきたものだいつの間にか煤だらけの手で顔を擦ったきっと笑われる様な顔をしてると思う 同じ時間の中で僕達泣いたり笑…

かかききかかけけ

ふと気が付く線の太さで線の数だけ思いの丈が伸びゆく程に 音は大きくなってく ありありとしたリアリズム目を隠し 無いものと考えてる全部 質量に溶け出して足元の不確かさだけが遠のくサイレンが鳴る目線さへ 聴こえなくなる程五月蠅い OFF OFF求めてる 手…

Re賽刳ル

雨が乾いて 降って 乾いてまだら模様の街ずぶ濡れなのは心の飛びっきりの寒さ まやかしの行き止まりに枯れた蛍光灯の陰に沈黙するくすんだ花の色 甘く教えて見知らぬ世界を灰を固めて高く燃えるとても幸せなその笑顔で 甘く教えて約束と制約を鮮やかに危うげ…

おサあい

たーんたーんたーんたーん走り出した影絵の音が聞こえるよ人影を追いかけるワタシの影微笑みと赤い明滅が遠く渦を巻いて色とりどりセロファンを破り繰り返していく幻燈霞む目 口の中の甘さに気づく縋るように口づける指先の果実この潤いと喉を通る別世界の芳…

あてこすり

鋭く尖らせたエンピツみたいな言葉が混ぜこぜの雲の中を突き進んで薄暗くなる頃 まだ光っていたらその推進力のままにあてつけみたいに書き記しておくよ 意識の霧散は常套句薄まった満足 その先に空しさ縋りつけるものは枝葉のように光あれと人は簡単に言う空…

ペル イヴ

始めてくれた台詞から 五臓六腑に染み渡る習性 頭のなかのネジ巻き鳥が デジタル信号の卵を割って歩きだす こんなモザイクの仮面の仮面の 食い違いで ワタシの価値を図ろうなんて それでもさっさときっと 思い通りに演じてしまうと呟くの がむしゃらな動きで…

蕾 花 開く 内側の力 その身を通り抜けてゆく 近くの何かに作用する その工程 その過程 流動のオルタナティブ 隠されてもいない 黙されてもいない ただ知らぬまま 興味がないまま 1と0の瞬間 ない交ぜの吃り 高級現実は 性悪説のシンドローム ゴルゴダの丘の…

baばmむ

足を取られる街の影が染み込むような重い音を流しながら忍び寄ってくる遠くのビルは高さを伸ばしながら世界から色を切り出していく魂を抜いていくみたいに シンプルな正方形達のお祭り土手沿いを色が落ちて眩暈がする無理矢理な歩きに変わる頃逃げ出した猫た…

ウミネコ

屈折した視野の天井で 空回る偽りの全て 沢山のまあるかったり 細かったり 平べったかったり光が プランクトンみたいに ゆらゆら揺れながら どこまでも重なりあいながら泳ぐ 深く横たえた砂に埋まった身体 感触も妙に馴染む 居心地の悪い筈なのに 両の手伸ば…

3⃣7⑥

吹き払う一瞬の毎日は重ねあうポートレートの連続夜の長さを意識しなくちゃ眠れない「誰かに」なんて縋った遠い憧憬 闇を見つめる目のその中にある思いだけが少しのズレも許されない頑なな手を握った実在 きっと誰も知らくて誰でも知ってるんだ疑問符を投げ…

ぐらで

在り来たりな影の容遅れた季節の名残色濃く溢れ出してやがて晩夏の世界に溶け出ていく トタントタン電車の音遠くへ遠くへ思いを馳せる ここでない場所今ではない時間遠くへ遠くへトタントタン 心の中のほとぼりはあの日のまま という訳じゃないけれど思い出…

♻ル

西の方が明るみを増し 霞のかかる太陽と雨と ゆうらりゆうらり 手を繋ぐ陰 地に影は伸びる 目に見えない事は街音に聞いて それとなく物思いにふける 繰り返される雑音もまた 調律の内に掠れ消えていく 延び上がる身体を引きずって 己の影の小ささを見る 黄昏…

NeN NeN

不燃物みたいな消し炭の 面影ばかりの迷惑さ 吐き出す息は黒々と 透明な質量と体積の 身体に纏わりつく四方の壁 瘡蓋剥がれたその下は 前より固くなったとさ そうして広がる足跡は 円を描いて塗り潰し 眠り眠れよ 仮想の君は戦いの終わりに欠伸を一つ 騎士は…

滲色の雨

夕暮れ色の指先で 指差す先は淡い虹の麓 はらはらと落ちていく欠片 その色の切れ切れは やがて滴に変わり 形を失いながら消えていく 滴は密やかに身体を濡らし 確かに感じた感触も 熱を帯びた記憶も 水面の生じた波紋の様に ただ静かに広がりながら まるで何…