風見鶏テキスト

たまに思い出した様に散文詩を書きます。

おサあい

たーんたーんたーんたーん
走り出した影絵の音が聞こえるよ
人影を追いかけるワタシの影
微笑みと赤い明滅が遠く渦を巻いて
色とりどりセロファンを破り
繰り返していく幻燈
霞む目

口の中の甘さに気づく
縋るように口づける指先の果実
この潤いと喉を通る別世界の芳香
枠だけの扉を通り抜ける度
ワタシの影は優しく微睡のウソをつく

私の周りを回り回る
五色の雲が蛇みたいに
ワタシに縋りつき消えていく
助けを呼び泣き出した眼に
路地裏の夜空はどう映るのでしょう
置き去りにした情を残して

断片的な記録と記憶は
陽炎の向こう側
本当は知らない懐かしい場所へ誘う

手首に巻いた蛇
飛び降りる楽園の輝きは
一瞬の閃光で終わってしまうけど
心臓の鼓動ばかり
あなたが
いるなら
あなたが
いるなら
あなたが
いるなら
いるなら

解放される
開闢される
感応される
快楽に落ちる

私の埃被った手足
私の埃被った顔
路地裏の夜空
ガラスの破片に映る
引き攣った顔は
笑い顔に見えた
ワタシは確かに笑ってる