風見鶏テキスト

たまに思い出した様に散文詩を書きます。

 

指先も見えぬ暗闇の中
白平盃が一つコトリと置かれた

中空より滴る
一筋の糸の如く
その隆線を落とす
あるかなしかに色づいた
黄金色の液体が
白平盃に微かな音も立てず
流れ込み満たしていく

なにものに捧げる事なく
ただ掌を合わせ
なにものに縋る事なく
ただ掌を合わせ

白平盃が満ち
その嵩が零れ落ちていくのを
見ている