風見鶏テキスト

たまに思い出した様に散文詩を書きます。

マヨイ

30分の環境の変化顔を照らした文字の光はまるで窓の外遠く揺れるモラトリアムの丘アンビエントの意味なんて切り取られた舌先三寸の選択肢 見えない夜に消えては現れるその事実だけ思い描いて 迷子の子猫は逆さに歩く逆さに歩いても子猫は子猫さ 居心地悪く天…

プランク

ステップ目測予想の範疇 見切り発車のどつぼに落ちるきらめき さざめき底からやってくる あめき 硬い殻の輪郭を選んで秘密主義の振り付けで踊る 夜でもなく朝でもなくじょうろ枯れた心のプランター ごごご街の纏まり低い音まるで嵐の前みたいな 立ちすくむ勢…

ぐろう

向かう路は迎える路は仄かに光る 誰かの苦い顔ふいに呟く嘘空気の味の違いは懐かしいそりゃそうさこんなこんなに暑いんだから はにかむ タバコの煙を吐き出す様なため息散々に散らかって痛みさえ はにかむ並んで手を繋いだ六角形のビルの中で ロケット 流線…

追い星

水色の波を背に踏みしめる赤い砂のほころび空想があくびを一つ吹き抜ける風に二羽のカモメ 目元を照らす幻灯の虹伏せた目で捉えきれない光彩止んだ雨の音を心で受けて代わる代わる熱に浮かれる 水色の波を背に受け見上げる瞬きに散華波は光になって流星にな…

そらっぽ

繋ぎとめたステレオグラムの世界 寄せえては返す 前照灯のさざ波は 何時までも泣きじゃくるみたいに この場所を この時を 大きな流れの奇跡なんて呼ぶんだ 指先と歩幅と 街の音の匂いと 黒を薄めた青を辿る指先 失われていく 手の中のほとぼり 空想で 空っぽ…

Plays Snows

Snow Snow 透明な空気の澄んだ色 遊ぶ雪 駆け抜けてきた音の記憶 そっと包むみたいに 寂しさを少しだけエッセンスにして かき混ぜた寒い夜 オレンジ色の部屋では 冬の妖精たちにからかわれた雪の花が顔を出して まだ眠そうに しんしんと音を聴く ぼんやり白…

some

ため息を枕に 夜を流れれば 朝焼けの記憶と 隠れた東雲の空 何時かの街の静寂 懐かしい匂い 世界の中で信号機の点滅だけが動いてる あの時歌えなかった歌を 今口ずさむ 幻の様なメロディ 終わりが来てほしくなくて 後先なんて考えず 無力に足掻いてた 朝が来…

君を忘れる 月見の夜の出会いと別れの一齣 青鈍色の窓辺の下で 並んだ試験管の中を 赤い液体がゆったり いったりきたりしながら 未来と過去を織り交ぜた 薄紅色の光を僕の頬へと写して 消え入りながら 君と呼ばれる全ての何かを 何処かへ何処かへ 誘って 行…

かぼちゃ

空虚な妄想の種は 植木鉢に大人しく収まりはしない 薄汚れた路上に 打ち付けて 捨ててしまおうかしらん いっそ花の咲かぬものとして 腐った根っこを見もしない 男である 女である 性別を超越出来ない位に 届かないと知る事も空しい 大人しく初々しく 棚の上…

誰かの為に 誰かの為に 誰かの為に ダレカノタメニ 立ち止まる 僕達は白い道に 五指の白い影を落して 混然一体となって 誰かの為に 忘れていく 待ち受ける これから積み重ねる 至って普通の 在り来たりな常盤 誰かの為に 誰かの為に 誰かの為に ダレカノタメ…

volume

冷たい街の中で ボリュームを上げれば 僕の周りだけ切り取られた様に違う音 悲しい程に知らない音 意味もなく目を瞑って 自分意外のモノに包まれる儘 真っ暗な視界に写るのは 誰の物でもない自分の 白くて冷たい乾いた息 何に対して誤魔化しているのか 指先…

ゆめだま

音の力を借り 数多より績は心の揺り籠 夢玉揺れて 涙の橋 何処かへ手を伸ばす 透明な君の指先を 千の夜も 万の夜も 見つめていよう 君と共に ワタシはいよう 君の些細な吐息にさへ 触れる事が出来ずとも 手を伸ばす 透明な君の指先を そのかじかむ手を 見つ…

風編みの街

風編み 街を駆け抜けながら 色はゆく 空の向こう側へ 茜 紫 群青 夕日の先へ届く複雑な色に手を伸ばした 星が瞬く 今日も夜空に きっと昨日とは少し違う色 沢山の星が 沢山の糸になって 光りが空を覆った 光の空で 小さな窓みたいなお月様が瞬きすると 一斉…

gradation

並んだ小さいビルの影 青鈍色に道を作っていく 街の間を流れる空気が 冷たく頬を撫でる アスファルトの匂い 誰かの働く音 他人の家の匂い 晴れても 曇りでもない空 路地にお日様が沈んでいく 今は自分で決められる事なのに なんだか家に帰らなきゃいけないっ…

レノメノ

茜に燃えてる空の 遠くの方 人差し指で見つけた一番星 お祭りの後のような帰り足 少しだけ寂しいような 悲しいような ほっとしたような 複雑な気持ち 雲の流れる音が聞こえてる 大きくなっていく街の影の中を 胸元に手をぎゅっと抱きながら 追って 追いかけ…

ことさら

なけなしの雨が降っている 雨色にけぶる風景に ぼんぼりの様に 光が一つ二つ揺れている さらさらと微かな音の中に 聞こえもしない声を探して 汚れた掌越しに透かす きらきらとしたあるかなしかの一滴 二滴には 刹那 なんにも見えない 留まり続けた思いが幻灯…

石のライオン

もし たら れば 出来る事なんてそれだけ 自分がいなくなったって 世界は変わらずにいるだろ 彩りを添える為だけに トコトコ歩き出す夜道 電灯の下の明かりが ゴールみたいに見えて 跳び跳び歩いていくのさ セピアの記憶も闇夜では 灰色に見えてしまうだけ 色…

霧雨日出

出 出 口を開き 逃げ出した矢先の 壁 一つ越え 屋根伝いにお前にお前に この手 この指 爪 それだけが影の様に疾走する世界で 止めてよ 鼓動 全てを停止してみせて 慟哭はやがて 悦びに変わるのかい? 新しい生なんて無い 嘘から生まれた蛹は孵らない 言葉は …

ハーバリウム

ありったけの小瓶に ありったけの思いを 入れて透かす世界は 君の見る世界と同じ色なのかな? いつまでも一人で いつまでも呟いた 年月 すれ違う嘘の言葉 今だけ 勢いだけの裏腹 キラキラ光る小瓶にラベルを貼って 飾り立てた 知らない文字で書きなぐって無理…

シンボル

大小様々な記号 ため息を一つつく度に その刹那に浮かんでは 様々に明滅して消えていく 泣くように 笑うように 怒るように 眠るように 求めるように 一人ぼっちの 記号の意味を知る 知ることで減っていく 知ることで増えていく 体積 夢と幻が見せる事実 自分…

けらくてん

限られた 限られた 仕切られた 止めた これからの 今からの 呻き声 足跡ひとつ 千手 千手 萬寿 無窮 アポトーシスの楽園 限られた 時 限られた 意味 仕切られた 身体 止めた 心 これからの 予定 今からの 恐れ 呻き声 ため息 足跡ひとつ ふたつ 斑模様の曼陀…

ざんりょう

傷もつかねば ましろいだけの 顔の無いまま忘らりょか 棘の花なら薔薇色の花 されど薔薇にあらぬこの身など 針の腕では抱く事もできぬ 影を探して 光を仰ぎ いっそう光が眩しくうつる ぼんやりと火照る うらの彩色 いっそ捨て去り 眠りにつきたい 時は欠けゆ…

アワユキ

夜の暗闇 開け放った扉の きいきい鳴る蝶番 明後日の用事 手付かずの明日 からっぽのまんまで 出掛けに行くよ 頭の中で出来上がってるのは 欲しかった意味か 決めつけた答えか 眩しいくらいに なんにも無くて 疲れたと言ったあの時あの場所 それは何処で何時…

だからさ

何処にも行けないあみだくじ お仕舞の無い繋がった線は ぐるぐる 四角く暴れまわる 灰色のソナー音 規則的に繰り返す 早く 早く なにが? せかされる 誰に? 後回しの夜 無限に広がる空 それはまるでまやかし 繋がりもなく感触もなく ほんの些細な 大切な事…

ささらさ

薄灰色の星達が なだらかに陰影を引きながら ヴェールの様な光を 乾いた月のクレバスに注ぐと 月の白と色をせめぎ合わせながら ぼんやりと輝いている 「眩しいね、目を瞑って、それで幸せになれるよ」 そう言って微笑んだ誰かの声 誰だったんだろう 月までの…

一滴 僕に当たれば そこだけに輪郭が生じ 二つ 三つ 滴が落ちる度に その片影を濃くする 夕立の間だけ 僕は君に差される 雨粒から君を守り この身の内に抱き 幾ばくか慰める 夕立は突然に止むもの 雲間から太陽が覗く 滴が無くなれば僕の形は消える 君は僕を…

side( )

夕日が眩しくて 目を細めて笑う 壁に持たれて座った掌には なんにも無かったけど 空気は今よりもずっと透明で 空は曇ったり晴れたり それだけで 新鮮な気持ちになった 窓辺 雲間から覗いた太陽が 僕の部屋をオレンジ色に照らす まるで時が止まっているみたい…

cure_dB

ラジカセの渇いた音 ヘッドホンの内側 音だけが全ての世界 ハイウェイを走る 午前4:55 夜が空から欠片のように砕け落ち アスファルトを黒く覆い尽くした 街路樹の影は 加速した速度で 時間の前方へ 前方へ 跳躍する 木々の根元から 光の帯が伸び 道路に何処…

R-B-D

落ち着かない心の 底に沈んだモノクローム 色のつかない風景の中で 独り呟いた言葉が なんにも引っ掛かからないで どこまでも天井を漂う テレビだけがついた部屋 ビデオノイズがかかった 繰り返してる思い出は 何時の間に 削られたシーンばかりで もう別の映…

粒泥 ケイオス

私は行く 蟠りの海へ 光を保ちながら 奇妙な陰影を踏み越えて 心のなかに嘘をついたまま 指揮者の様に指先を振った 混じりあって絡みあって 身体を覆う質量の違う空気は 勝ち誇った様に ただ ただ... 欄干に乗せた足首に うっすらと桜色の線 見上げた顔 「ね…