風見鶏テキスト

たまに思い出した様に散文詩を書きます。

滲色の雨

夕暮れ色の指先で

指差す先は淡い虹の麓

はらはらと落ちていく欠片

その色の切れ切れは

やがて滴に変わり

形を失いながら消えていく

 

滴は密やかに身体を濡らし

確かに感じた感触も

熱を帯びた記憶も

水面の生じた波紋の様に

ただ静かに広がりながら

まるで何も無かったかの様に

静まりゆくばかり