風見鶏テキスト

たまに思い出した様に散文詩を書きます。

♻ル

西の方が明るみを増し

霞のかかる太陽と雨と

ゆうらりゆうらり

手を繋ぐ陰

地に影は伸びる

 

目に見えない事は街音に聞いて

それとなく物思いにふける

繰り返される雑音もまた

調律の内に掠れ消えていく

 

延び上がる身体を引きずって

己の影の小ささを見る

黄昏はもう すぐに過ぎ行き

夜の闇に震えるだろうか

 

てくてく歩く

迷い子の様に

誰も彼も居場所も判らぬまま

 

時折誰かが呟く

短い歌が

風の中 聞こえてくるばかり