風見鶏テキスト

たまに思い出した様に散文詩を書きます。

花風致(ハナフウチ)

 
光に透かす八重の花弁
影を一片(ヒトヒラ) 忘れて落ちた
指先に掬い上げて尚
眩しい春めきに 思わず目を伏せた

心の中留めた
行く先の忘れた 醒めた御酒(ミズ)は
迂遠(ウエン)に ただ静かに身体を冷やすだけ

朱に染まる頬を伝い
焦がれる胸元に流れ
最後は淡雪の様に染みて消えた

遠く遠く見えていた
近く近く感じていた
長く長く 待ち焦がれ
過ぎていくのは 刹那(セツナ)

一度 一度きりに染め上げて
鮮やかに萌え 立消えた
 
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読んでみたヤツ