風見鶏テキスト

たまに思い出した様に散文詩を書きます。

オサカナメモリ

古錆塗れの歯車ラジオ 挙げろジグ回せ
未来が響く 鉄の音さ 金色の天国
羽虫連なる可愛いあの子が 夕闇電波を 泳いで渡る
その姿がとても おぞましく 耳を塞いでも聴こえる

神様から 貰った 鋭い背ビレで
電波を切り取り 繋ぎとめておくれ
僕は既に待っているよ
世界がまるで七色に変わる時を

少年が一人 あの子の下で 立ち尽くしているよ
徹底的に錆びた頭 震える指先じゃ
何も出来ない 何もしたくない 何も言えない
君は迷う 電波の海を さながら廻る 回遊 魚
ノイズの様な羽虫の群れが 魚を蝕む
鱗を喰われながらも 笑ってる 僕にはまったく解らない

「構成構造ラジオの煌くランプの灯りは
 眼の中の毛細神経電流を刺激し
 響かせる音と相互共振を繰り返し
 余りある乱費の思考を平定し
 10~1と0~1の区間を限りなく等しくすると言う」

紡がれるままに 考える 思考
時間を繰り返し 刷り込む事で 苦痛が薄らぐなんて
幻想で まやかしだった
襤褸切れの様に沈む姿は 人型
少女と少年は手を取り合って 笑った
歯車ラジオは水の中 朽ち錆 壊れてしまったけど
四肢を伸ばして生きられるなら
それはそれで幸せなのかもしれない

君は迷う 電波の海を さながら廻る 回遊 魚
神様から 貰った 鋭い背ビレで
電波を切り取り 繋ぎとめておくれ
僕は既に待っているよ
世界がまるで七色に変わる時を
僕は既に待っているよ
世界がまるで七色に変わる時を