風見鶏テキスト

たまに思い出した様に散文詩を書きます。

Folidol polka

小鳥の赤い風車の下にゃ
マネキン畑が段違いに広がって
のっぺらぼうの顔々が並び
自己鑑定のプロペラに書かれた通り
幽霊達の行列は続く

佇む影はマネキン人形
今で666体目の乙女人形
人形の眼は薄笑う硝子球でも
捨てられた自動運転が怖くなって
泣き喚いて逃げて行く
真似ばかり上手くてもね
知識不足でポーズがとれない

砂礫の上泣く声は細く消える
人形は瓦礫に混ざり一回り一杯
妥協不足も失敗に数え
捨てられる人形達の積み重なり
泣く暇も無く木々に変わるだろう
宛がわれたドレス忘れたポルカ
悲しい悲しい木婦人人形達は
地平の彼方まで影を結ぶ

全ての始まりから
人形は焼かれ消えていく
プロペラ回す燃料にもなりはしないけれど
焦げた手足は残り
されど工場は止まる事無く
決められた同じ順序を繰り返すだけ

666体目の乙女人形は数少ない成功例
0.002%の自我と美貌
カーテンの連なるお店に飾られ
数値も解らぬ紳士に買われていった

いずれ期限の過ぎた人形は
知識を蓄え一人立ちするだろう
人形を失った男達は
まるで木婦人森の彷徨い人よ
記憶された断片も糸も無いのに
話したりはしないのに
既存理由が変わり話し合いの続く夜も
私はただ100歩譲ってあげただけよと
強気な顔その頬は震えている

永久に囁く愛の歌や
私の名前の植木鉢なんていらないから
せめて私の片目に一つ電球をおくれ
醜い縫い目だらけの顔を明るく照らし
深泥の顔をきっと白くしてくれるから

私の脚が木々に変わり
忘れたい地に縫い止められても
私から離れていく足跡だけで
遠く消える姿が私に決して見えない様に