風見鶏テキスト

たまに思い出した様に散文詩を書きます。

片子座の空

待ち合わせ
彼は来ない
それでも待っているつもりで
夜は更けていく

都会でも輝く星に思いを架ける
ふっと息を吹けば
白く薄く消えていくばかり

数え切れない溜め息が星明りに散らされ
街に光が灯り始める
ベンチに置いた手が冷たくて
ポケットに手を入れて
手探りに見つけたメモ

ここで待っているつもり
ここが何処なのかわからなくなって
俺が誰なのか知らない
彼の事だけ
彼の事で一杯

道行く人もいない
薫るのは暗闇と寒さ
何時か彼が戻って来た時
何時か彼の元へ行ける時
その為に
この冷たさの中で俺は
待つ事しか出来ないのだろうか?

吐く息は白く
空までゆるゆると登って行く
込めた言葉のその数々を
真っ白な身の内に宿して

真っ黒な空
星一つで出来る星座なんて無い
煌きは何故か歪んでいる
彼はまだ来ない