風見鶏テキスト

たまに思い出した様に散文詩を書きます。

蜜鳥

琥珀色した人工娼婦は
夜の歩みを止めはしない

束の間の楽園
街は灯りと深くなって
演算の二人を演出する

この街に満たされる愛は無い
制御された心臓群が
糖蜜の様な愛を知った時
抑圧を解かれ焦がれた娼婦は
悦びの絶頂で自爆する

今では
担いで逃げる男もいやしない
互いに抑えるしかなく
限定した乱数の反応でも
お客は満足するしかない

探すように街を
一人
一体
彷徨うように街を
仕込まれた心で

小雨の様な囀りと
裏町の薄暗さでも
記憶された微笑では
誰も騙せやしないのに

仮初の楽園
妥協できる答えの為に
夜を求める