春香白く
結べど解け
花びら散りゆく
そのままに
遠い夢のその姿
褪せた葉はらりと
秋路に落ちた
儚く揺れる青空の麓に
滲む指先 滲む心(うら)
からん ころん
駆け上がり
からん ころん
一つ 遠い音
薄明りの街並みの中を捉えようもない影が
僕の背中を追い越していく
風鈴みたいな音と思い出とが
風景の中から溶け出していく
随分夜も更けてきたものだ
いつの間にか煤だらけの手で顔を擦った
きっと笑われる様な顔をしてると思う
同じ時間の中で僕達
泣いたり笑ったり怒ったりしたけれど
たぶんそれは夢みたいなものだね
君の声音を聞いても知らんぷりしてた
本当に大切なのは「 」
そんな当たり前の事だって見えてなかった
ボタンの掛け違いから始まって
お仕舞いまでそのまま
だらしなく胸元の空いたパジャマみたいなもの
ただ 当たり前が欲しかっただけだと
痛みを忘れた頃に
何も残ってない事に気づく
月ばかりが大きくて
空は憎たらしい位黒く澄んでいる
思い出した様に昔覚えた歌を歌う
心に雑じったノイズにわらいながら
ふと気が付く線の太さで
線の数だけ思いの丈が
伸びゆく程に 音は大きくなってく
ありありとしたリアリズム
目を隠し 無いものと考えてる
全部 質量に溶け出して
足元の不確かさだけが遠のく
サイレンが鳴る
目線さへ 聴こえなくなる程
五月蠅い
OFF OFF
求めてる 手は伸ばさないけれど
数え歌のひもじさは
やがて来る薄氷の
終焉の軋み音
酔って
火照る
風の色も見えなくなったと
吹かれるままにここにいる
西の風 バラバラのパズル
言葉が朽ちるまで
雑草みたいなもの
器は1と0で満ちる程
そしてそれが消費される速度で
静寂は回る 暗がりの騒がしさを感じて
ガラクタを繋ぎ合わせた君に見る
暗い鏡の その先へ
僕はいけないよ
それが幸せかは 知りはしないけど
朝焼けが朝焼けが
星も月もすべて燃やして
流星が落ちていく
白い線を引き
僕の輪郭の上に遠慮なく 格子の如くに
塗りつぶす
そうして流星は地面に砕け
砕けた欠片は蝶になり
真白い蝶がひらひらと青い空をはためく
雨が乾いて 降って 乾いて
まだら模様の街
ずぶ濡れなのは心の
飛びっきりの寒さ
まやかしの行き止まりに
枯れた蛍光灯の陰に
沈黙するくすんだ花の色
甘く教えて
見知らぬ世界を
灰を固めて
高く燃える
とても幸せな
その笑顔で
甘く教えて
約束と制約を
鮮やかに危うげに
高く燃える
その幸せを
沈んでいく太陽が窓辺から海原に落ちていく
光る魚達の行列
つまらなく吐き出す泡の中に
ネオンの灯りが迷惑な色に溶ける
乾いて 乾いて さらりとした感触で
瞑った両目を指先で隠した
甘く教えて
見知らぬ世界を
灰を固めて
高く燃える
とても幸せな
その笑顔で
あらゆる事が反目しながら酔っている
オレンジ色に明滅しながら
たーんたーんたーんたーん
走り出した影絵の音が聞こえるよ
人影を追いかけるワタシの影
微笑みと赤い明滅が遠く渦を巻いて
色とりどりセロファンを破り
繰り返していく幻燈
霞む目
口の中の甘さに気づく
縋るように口づける指先の果実
この潤いと喉を通る別世界の芳香
枠だけの扉を通り抜ける度
ワタシの影は優しく微睡のウソをつく
私の周りを回り回る
五色の雲が蛇みたいに
ワタシに縋りつき消えていく
助けを呼び泣き出した眼に
路地裏の夜空はどう映るのでしょう
置き去りにした情を残して
断片的な記録と記憶は
陽炎の向こう側
本当は知らない懐かしい場所へ誘う
手首に巻いた蛇
飛び降りる楽園の輝きは
一瞬の閃光で終わってしまうけど
心臓の鼓動ばかり
あなたが
いるなら
あなたが
いるなら
あなたが
いるなら
いるなら
解放される
開闢される
感応される
快楽に落ちる
私の埃被った手足
私の埃被った顔
路地裏の夜空
ガラスの破片に映る
引き攣った顔は
笑い顔に見えた
ワタシは確かに笑ってる
鋭く尖らせたエンピツみたいな言葉が
混ぜこぜの雲の中を突き進んで
薄暗くなる頃 まだ光っていたら
その推進力のままに
あてつけみたいに書き記しておくよ
意識の霧散は常套句
薄まった満足 その先に空しさ
縋りつけるものは枝葉のように
光あれと人は簡単に言う
空に掲げる手のひら透ける
その幻覚 薄水色の蝶の群れ
落葉
光彩がくぐもり
くすぐりあった幼さを想う
平坦な毎日に儀式めいた悪戯
街の時間を閉じ込めた 瞳の色
押しとどめて
押し込めて
いつか破裂して
悲しくなって
それでもなんとか
形になって
前も向けず
後ろも向けず
足元には薄氷の下に空
くすぐったさの居心地の悪さ
温もりだけが抜け落ちていた
幾度も真昼の月を追って
退屈な無窮さを
くそったれだ
と嘯いて
鋭く尖らせたエンピツみたいな言葉が
混ぜこぜの雲の中を突き進んで
薄暗くなる頃 まだ光っていたら
その推進力のままに
あの頃みたいに書き記しておくよ
逆さまの太陽と溜息のバブル
原液を沈んでいく 水平線
始めてくれた台詞から
五臓六腑に染み渡る習性
頭のなかのネジ巻き鳥が
デジタル信号の卵を割って歩きだす
こんなモザイクの仮面の仮面の
食い違いで
ワタシの価値を図ろうなんて
それでもさっさときっと
思い通りに演じてしまうと呟くの
がむしゃらな動きで
真剣な顔をして
楽しくもなく
ただひたすら
そんなワタシをあなたは
哀れむみたいに
怖れるみたいに
そうして遠くで笑うのかしら
色は変われど形は変わらない
そんな現実突きつけられて
購うもののないこの両翼では
落ちていく軌跡にしかなりもしないのに
痛みだけが夢みたいに
非現実を鎖に繋ぐ
獣の様に脇目も振らず
受動する全てと空白の時間と
幾度もこの場所は陽炎のように
過ぎ去る時の躓きね
靴が強く鳴く
人々の声が遠く
遠のいて遠のいて
痛みだけが夢みたいに
非現実を鎖に繋ぐ